やましき沈黙
「日本海軍400時間の証言」の「特攻」編では、「やましき沈黙」について触れられている。
特攻作戦などはするべきでないと、誰もが思っていたが、誰も反対できなかった・・・それが「やましき沈黙」の一つの例だ。
日本人から「やましき沈黙」を取り除くのは無理な注文だろう。日本の調和を保とうと努力する社会においては「やましき沈黙」をすることは美徳なのだから。日本はいまでも「沈黙は金なり」の世界だ。戦後でも論理的に正しいと思ったことを言うと、「理屈じゃなか」と言われる世界だ。
この番組の教訓は「何よりも、ひとりひとの”命“にかかわることにつては、たとえどんなにやむを得ない事情があろうとも、決して”やましき沈黙“に陥らないことだと思います」のようだが、空念仏のように聞こえた。
大体、戦前の日本では「人の命は50銭」だった。当時の軍隊への招集令状のはがきを送付する切手代だ。
日本の軍隊では「人の命は使い捨て」だった。
特攻隊とか玉砕とかは日本の伝統に基づいている。玉砕は日露戦争でも行われている? 名誉を持った死は尊ばれるのが日本。現代でも誇り高い日本人は、会社経営に失敗しても玉砕する。
「命を尊ぶ」というのは欧米的発想。日本人は「命よりも名誉を尊ぶ」というと格好が良いが、実は「命よりも見栄を尊ぶ」のかもしれない。
だからこの番組の教訓としては「『やましき沈黙』は日本の美徳だが、調和を求めるだけでは正義が行われない。異端の見解を持つ人々が呼吸できる社会を作っていこう」のほうがよかった。

